空気感_VISVIM

空気感は人を動かし、未来の街をつくる。

大げさなことを書いてしまうが、この小さなことに丁寧に取り組むこと。小さくても変えようとする想いが未来の街をつくる。と信じている。

ひとつ仕事が一段落し、久々の休日。中目黒の目黒川沿いを散歩し、ある古民家風のショップに目が止まった。昨年、基礎や柱が建ってる段階でも異彩を放っていて、ここにどんな建築物が建つのか楽しみだった。

VIS VIMとWMVコラボのラグジュアリーファッションブランドのショップ。70年代の古民家がベースのデザインだそう。内装には多くの古材が使われ、多くの加工が施され、手触り感と質感、素材の持つパワーを感じる空間になっている。

使われている材だけでざっと、柱や梁、造作には、栗、米松、杉の古材、手斧仕上げ。壁面は、土壁、手すき和紙、型摺り染めの襖。床には、洗い出し、木製目地。杉材のサッシ、杉材の枠の窓。京都で特注したすだれ。しかも全てがこだわった仕上げ、細工がされている。極め付けは、庭師の安諸定男氏(重鎮!)が手がけた小さな庭園。

全ての空間デザイン監修は、このブランドのデザイナーであり代表の中村ヒロキ氏だそう。それを聞いて納得した。経営者本人がこういった感性や価値観がないことには、これだけのこだわりを実現するのはとても難しいだろうと思った。何せ、施工に9ヶ月もかかっとか。。。

ショップの空間デザイン情報は下記のサイトに書かれている。
https://casabrutus.com/design/130007
もっと専門的に書いてあるのは、「商店建築2020年7月号」
興味のある方は是非。
https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3269

小さなこだわりひとつひとつが空間全体の空気感、心地よさを作る。
そして、何より印象的だったのは、ショップ内を案内してくれた店員さんがとても幸せそうだったこと。全体に心地よい空気感が漂っていて、住みたくなりますね。なんて話しながら、庭園を見せてくれると窓を開けてもらった瞬間。言葉を失った。この東京のビルとビルの間にある小さな小さな庭園の心地よさ。とても表現できないが、心がふわっとした。なんだろう。この感覚。

店員さんは、「毎日お店に通うことが楽しい。気持ちよくて。座ってずっと眺めていたい。」と言った。そして、庭の苔が育つよう水やりや雑草取りなどのお庭の手入れや苔が綺麗に増えた時の嬉しかった話、天然素材で造っているからか、虫がたくさん寄ってきて大変だとか、窓拭きの話など大変なお手入れのことも楽しそうに話し、それでもそれを気持ちよくでき、幸せと思えることは本当に素敵なことだと思う。

空気感は人を動かす。集まってくる人も、そこにいる人も。

手入れも施工も簡単なものを取り入れれば、本当に皆がハッピーなのか?小さくてもいいかから何かひとつ。ひとつだけでも、自然、サスティナブル、五感、空気感、、、愛着の持てるものを取り入れてはどうだろう。

「標準的な仕様があって。」「天然ものはクレームが心配。」「費用対効果が、、、」などと大義名分はいくらでもある。社会の流れにのまれていないだろうか。ひとつでも変えようとひとりでも動いてみることは、未来を創ると思う。

100年前の人たちは、今の東京の街の便利さは想像したかもしれないが、街の質感や色が消えていくことは誰も想像しなかった。今の私たちは100年後も想像はつかないのだから。

◉visvim
https://www.visvim.tv/jp/

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