私たちは地層になる時代を生きている。
たとえば1000万年後、宇宙人の地質学者が地球にやってくるとしよう。
そのとき彼らは、地層の中に人類の痕跡を見つけるのだろうか。ジュラ紀や白亜紀が「恐竜の時代」と呼ばれるように、「ホモサピエンスの時代」と称される地質学的な時代区分は生まれるのだろうか。
この「人類の時代」に対して、オゾンホール研究で1995年にノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン(Paul Crutzen)氏は、「アントロポセン(Anthropocene)」という造語を提唱している。
人類の繁栄がどれほど長く続くのかは分からない。しかし、単一の生物種が地上の形態や化学物質の分布、生物学的な環境を急激に変え、それを自覚しているというのは、約47億年の地球の歴史の中でも過去に例がない。とクルツェン氏は言う。
現生人類の歴史はたった20万年ほどにすぎない。1億5000万年以上に渡って繁栄した恐竜がただ滅びるのを待つしかなっかたのとは異なり、「地球のシステムがおかしくなる」ような危機的状況を招いたのは、ほかならぬ人類自身だ。
クルッツェン氏が「アントロポセン」を提唱し、「人類の時代」を区分することが地質学的に有意義だろうか。そして、人類が地球に及ぼした分不相応な影響が恐らく制御不能な結果をもたらす可能性と、そうなった場合にどのように対処すべきかを、人々は深く考えざるを得なくなった。
人類の手によって短期間に起きた変化の痕跡は、地質学的にも非常に大きい。化石燃料を燃やすことで大気の化学組成が変わり、二酸化炭素(CO2)濃度は少なくとも過去80万年、もしかしたら過去300万年ぶりの高水準となった。
その結果とみられる温暖化によって、氷雪の融解や海水の酸性化など、地球規模の変化が起きている。
グローバル化に伴い、船や航空機などを介して生物種が他地域へ移動し、「大規模な均一化」も起きている。
書けばキリがないほど、47億年の中で、驚くほど特殊な生物だ。
(今のところ。だが。)
1000万年後に人間は滅びているのだろうか。
形を変え生きているのだろうか。
もっと知的でハイスペックな生物が現れ、この地層を見て、どう分析がされるのだろうか。文献を見つけ出し、「地質学としてアストロポセンと命名していたらしい。」と分析されるのだろうか。
10年前にこのような記事を目にしたことがあったのだが、今日、ふと思い出しながら書いてみた。
今日も、Covid-19の新たな変異種が見つかったそうだ。Covid-19は人間自身が生み出してしまい、そのウィルスが必死に生き延びようとしている中、また私たち人間自身の知恵とウィルスとの戦いが起きている。世界中でロックダウン。日本でも緊急事態宣言。
この瞬間も、「私たちは地層に残る時代を生きている。」ことを思い出した。
なぜかとても客観的に、必ず乗り越えて新たな時代を作らなければ、と感じられるから不思議だ。
クルッツェン氏の思惑では、「アントロポセン」という名称を与えることによって、今後人類を待ち受ける困難(地球環境破壊)に人々の注目を与えたかったそうだ。
地球環境問題も、もしかしたら、自分事としてと考えると、「どこかで自分事ではない」。なぜなら人間の寿命は短いからだ。
でも、一度、客観的に考え、注目してみようと思う。